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2017-05-22,Mon. その3

家の中で蟻を見た。夢の歪みに実体を持たせたような行列を辿ると、昆虫の死体があった。猫が殺害したものだろうけれど、黒山の蟻だかりで何の虫やらわからない。大きさとちらりとのぞいた茶色の薄い翅を見てゴキブリかもしれないと思った。

蟻の集っているのが砂糖や、人間の食べ物でなくてよかったと、心から安堵した。食べ物は食卓から降りた途端、私にとって忌わしい穢らわしいものとなる。お菓子の欠けらや熟した果物の汁なんかが床を這って運ばれるなんて、考えただけでゾッとする。昆虫の死骸はうつくしい。蟻がずっと家の中に居たら困るので片付けなくてはいけないけれど。

2017-05-22,Mon. その2

勢いよく皮膚に打つかる陽射しや盛り上がる緑や遠慮をなくした花の香りに触れて、焦る。遠くの空を飛ぶヘリコプターや道行く車の音も、響きが違う。空気には確実に、夏の重苦しい軽薄さが溶け出ている。

まだ、夏にはやって来てほしくない。ほんの少しでいいから待っていてほしい。私の準備ができるまで。

私は夏がとても好きだから、こんな全身に重りをぶら下げたような状態で夏を迎えたくないのだ。はちきれんばかりの生命力を湛えて夏を迎えたい(そうじゃないと肉体的にもまずいことになるし)。

2017-05-22,Mon.

みなさんには何が見えていますか。みなさんはどこへ行こうとしていますか。

 

私は今のままではどこにも行くことができません。今まで色々試みたけれどどこへも辿り着くことが出来なかったし多分歩みはじめることすらできていなかった。

私は「体力がない」という言い方をしているけれど、それは正しくない。体力がないのではなく、エネルギーを無駄遣いしているのです。ただ生きて肉体の存在に耐え眠って食べて家族と会話するだけのことに、持てる力のすべてを注ぎ込んでしまっている。色々やりたいことあるのに、すぐ寝込むし寝込まなかったとしても今すぐ死ぬしかないと思うくらい身体の具合が悪くなる。こんなことで全てを終わらせてしまうのはおかしい。私は努力しなくてはいけないと思う。でも努力って?

もっともっともっとたくさんのものを見たいのに、このままでは何も見ないまま何も知らないままだらだらと一生を過ごすことになる。そんなのは絶対に嫌だ。生に耐えて生きるなら色々な世界に辿り着き、立ち、景色を見たい。耐えるだけで終わってしまうなら今すぐ死ぬ。見えるものがあるかもしれないと儚い希望を抱き死への衝動を押し留めているけれど、いつまでもこのままなら、、、

2017-05-21,Sun.

足の爪を緑色に塗って、シス書店に「夢の植物園」展をみにゆく。14人の作家による、植物をテーマとした企画展。金子國義桑原弘明、山下陽子が印象的だった。

あまり時間がなく、ざっとしか見られなかったのが残念。

 

ところで私、澁澤龍彦の『夢の博物館』持ってないのです。今日シス書店にあった。あまり高くなかったから買えばよかったな。

2017-05-20,Sat. その2

文章、書きたいんだけどな。どんどん、表面上のものだけになってゆく。つらい

2017-05-20,Sat.

水槽を買って部屋に金魚を入れた。幽かな魚臭さや濾過装置の唸る音に早くもノイローゼになりかかっている。こんなことでめげそうになるなんて私の金魚愛は幻想だったの⁉︎

 

30ℓの水槽に、尾の短い小さめのレモンコメットと、優美な長い尾の丹頂コメット。少しずつ勉強して、水槽も増やして、いつか出目金や蘭鋳も育てたい。10年後には部屋じゅうに犇く水槽に、鮮やかに燦めく、目を見張るほど大きく怠惰で繊細な魚々。

…蘭鋳のグロテスクさが美しく思えてきたのはいつからだろう。

 

2017-05-19,Fri.

リップヴァンウィンクルの花嫁」を観る。この映画は……。もう一回観てみなければと思う。

 

最近綾野剛が気になっている(最近観た彼の出演作は「リップヴァンウィンクルの花嫁」「怒り」など)。稀有な、いや、特異な俳優だと思う。物の怪や神みたいに他者からの感情移入のみによって存在が成立しているかのような、そんな役ばかりだ(彼が演じることによって役にそんな空気が与えられてしまうのかもしれない)。いつも崩れ落ちてしまいそうな緊張と悲しみを漲らせている。