2017-05-27,Sat.

映画『メッセージ』を観に行く。なんとなく各所で評判高いというイメージだったが、実際に観てみて正直期待外れだと感じた。音楽や映像はすごく良いのに、内容や根底の思想についての考察がきちんとなされていない。制作者は自分の頭の中で整理できていないし更には適切に熟考すらしていないことを「なんとなく深そうなことを言っていそうな映画」として表現してしまったのではないか。(何を書くとネタバレになるかわからないのでこれくらいにしておく)

 

 

私がこの映画に否定的な感想を抱くのは、閉所恐怖症の気があるからだという可能性もあるではある。映画館そのものが大きな閉所と言えるのだけれど、それは一番後ろの席(空間の広さを感じられる)を選んだりレスキューレメディを使用したりして平静を保てる程度のものだ。しかし今回の映画は映像自体の閉塞感がすごくて、途中で席を立たなかったのが奇跡だと思えるくらい息が苦しかった。

2017-05-24,Wed.

青木画廊に行き『一角獣の変身〜青木画廊クロニクル 1961-2016』を購入する。澁澤龍彦瀧口修造種村季弘金子國義四谷シモンマンディアルグ夫妻、エトエトラエトセトラ、幻想文学、幻想絵画、シュルレアリスム、に興味のある人は必見の、これ一冊でほとんど辞書のような役割が果たせそうなくらい内容の濃い歴史書。豊富な写真、図版、興味深い対談、様々な文筆家がかつての展覧会に寄せた文章の数々に圧倒されます。今まで知らなかったアーティストも多く、興味の幅がいささか広がりすぎるのでキケンかもしれない。

 

喫茶店でこの本をパラパラ捲った後、三越の化粧品売り場を徘徊する。ジョーマローンのレア・ティー コレクションのコロンを試し(魅力的なコレクションだった。烏龍茶が非常に気に入ったけれど買わないだろう。年を重ねた人に似合う香りなのだ。深みと含蓄と温もり、地の底から昇ってくるような濃厚で甘く纏わりつく香り、しかしそれだけでは終わらないギラリとした冷たく苦く恐ろしいもの(闇の底からの叫び声の残響)を秘めている。)、アナスイでメタリックなターコイズブルーのマニキュアを買う。アナスイで買い物をしたのは初めてのことだが、ハマりそうな予感(今まではシャネルのような質実剛健なブランドにしか興味がなかった。正直、アナスイなんて見た目がチャラチャラしてるだけでしょ、と思っていた。今はそのキラキラゴテゴテしたパッケージ、乙女心を擽るツンとした薔薇の香りに惹かれる。実際にベースメイクのサンプルやマニキュアを使ってみてただチャラチャラしているだけじゃないってこともわかったし)。

2017-05-23,Tue.

歯医者で歯を磨いてもらった。歯間ブラシの大きくなったような形のブラシで表面を磨き、プラスチックの楊枝みたいなもので歯の間を。最後に、シトラスの味がする黄色いペーストをつけて先っぽが回転する歯医者っぽい器具で表面を滑らかにしてくれた。

 

口をゆすいだ水が魚臭いと感じた。歯医者の奥の暗い部屋には青く照らし出された水槽がたくさんあって種々様々の魚が飼われている。水換えをして捨てる水をタンクに貯め、患者が口をゆすぐための水はこのタンクから出されるのだ。若い歯科衛生士の女は夜になると熱帯魚の喉を覗き込み植物の産毛みたいな透明の細かい歯を丁寧に磨いてやる。

2017-05-22,Mon. その3

家の中で蟻を見た。夢の歪みに実体を持たせたような行列を辿ると、昆虫の死体があった。猫が殺害したものだろうけれど、黒山の蟻だかりで何の虫やらわからない。大きさとちらりとのぞいた茶色の薄い翅を見てゴキブリかもしれないと思った。

蟻の集っているのが砂糖や、人間の食べ物でなくてよかったと、心から安堵した。食べ物は食卓から降りた途端、私にとって忌わしい穢らわしいものとなる。お菓子の欠けらや熟した果物の汁なんかが床を這って運ばれるなんて、考えただけでゾッとする。昆虫の死骸はうつくしい。蟻がずっと家の中に居たら困るので片付けなくてはいけないけれど。

2017-05-22,Mon. その2

勢いよく皮膚に打つかる陽射しや盛り上がる緑や遠慮をなくした花の香りに触れて、焦る。遠くの空を飛ぶヘリコプターや道行く車の音も、響きが違う。空気には確実に、夏の重苦しい軽薄さが溶け出ている。

まだ、夏にはやって来てほしくない。ほんの少しでいいから待っていてほしい。私の準備ができるまで。

私は夏がとても好きだから、こんな全身に重りをぶら下げたような状態で夏を迎えたくないのだ。はちきれんばかりの生命力を湛えて夏を迎えたい(そうじゃないと肉体的にもまずいことになるし)。

2017-05-22,Mon.

みなさんには何が見えていますか。みなさんはどこへ行こうとしていますか。

 

私は今のままではどこにも行くことができません。今まで色々試みたけれどどこへも辿り着くことが出来なかったし多分歩みはじめることすらできていなかった。

私は「体力がない」という言い方をしているけれど、それは正しくない。体力がないのではなく、エネルギーを無駄遣いしているのです。ただ生きて肉体の存在に耐え眠って食べて家族と会話するだけのことに、持てる力のすべてを注ぎ込んでしまっている。色々やりたいことあるのに、すぐ寝込むし寝込まなかったとしても今すぐ死ぬしかないと思うくらい身体の具合が悪くなる。こんなことで全てを終わらせてしまうのはおかしい。私は努力しなくてはいけないと思う。でも努力って?

もっともっともっとたくさんのものを見たいのに、このままでは何も見ないまま何も知らないままだらだらと一生を過ごすことになる。そんなのは絶対に嫌だ。生に耐えて生きるなら色々な世界に辿り着き、立ち、景色を見たい。耐えるだけで終わってしまうなら今すぐ死ぬ。見えるものがあるかもしれないと儚い希望を抱き死への衝動を押し留めているけれど、いつまでもこのままなら、、、

2017-05-21,Sun.

足の爪を緑色に塗って、シス書店に「夢の植物園」展をみにゆく。14人の作家による、植物をテーマとした企画展。金子國義桑原弘明、山下陽子が印象的だった。

あまり時間がなく、ざっとしか見られなかったのが残念。

 

ところで私、澁澤龍彦の『夢の博物館』持ってないのです。今日シス書店にあった。あまり高くなかったから買えばよかったな。