2014-02-27,Thu.

パトリック・ジュースキント『香水〜ある人殺しの物語〜』池内紀    文春文庫

おもしろかった。夢枕獏みたいな感傷的な語り口。物語の中の香りが強烈すぎて、頭痛を通り越して胃が痛くなる。最後のところ、ハーメルンの笛吹きみたい。読みやすいし、読書のリハビリにちょうどいい。池内紀もいいよね。

ただ、タイトルがいただけない。

 小屋の前のオリーブ畑で見つけた穴ぼこだらけの石灰石を使って、同じように成功した。解離法を応用して、とどのつまり、ポマード状をした石のエキスを取り出したのである。無限にささやかな匂いながら、グルヌイユには言うかいもなくうれしかった。彼はこの石灰石の匂いと、小屋のまわりで手に入る何やかやとを組み合わせ、次第しだいにフランチェスコ修道院裏のオリーブ畑を作っていった。嗅覚に凝縮したオリーブ畑というものであって、小さな壜に入れて持ち歩いた。そっと蓋をとってひと嗅ぎするとき、おなじみの風景がありありと目の前によみがえる。


引用の部分はべつに夢枕獏っぽいとは思わないけど。ただこの部分はいちばん気に入ってる。