2014-08-01,Fri.

ドクペを飲んだ。幸せ。ドクペの香り、本の香り、流れ込んでくる夏の香り、アルミ缶の香り、アルミ缶についた砂の香り、お祭りの香り、…


人と喋りたくてたまらないので古本屋に来ている。誰もいないからレジのおじさんの周りをうろついてる。でも忙しそうだ。買取で歴史小説の文庫が大量に入ってきたみたいでそれを整理してる。仕方ないのでとりとめもなく流れ続けるラジオに耳を傾ける。政治、野球、マクドナルド、…。外ではお祭りをやっているみたいだけど、クーラーの効いた古本屋から出て行きたくない。暇を持て余してこの日記を書き始めた。古いエロ漫画の値段を確かめてみたり。精神分析入門を立ち読みしてみたり。なんとなく精神分析に興味が湧いてきた。210円なので買おう。誰か来ないかなあ…。お祭り見にいってみようかな…。でも暑いな…。古本屋の前の通りを浴衣を着た若者が通り過ぎるのを眺める。なんとなく感傷に浸る。頭の中で雪だるまをつくってそれを火だるまにする。気が狂いそうだなどと思いながら頭の中で火だるまを増やしていく。火だるまっていうのは火だるまのことではなく、雪だるまが燃えてるモノのことです、ここでは。客は来ないようでいてチラホラと入ってくる。でも知ってる人は来ない。頭の中で火だるまは火の海をつくっている。なんとなく楽しくなってきて、自分の視点の高度をどんどん上げていき、水平線をつくり、大きな火の玉と化した地球を俯瞰する。地球から離れて、太陽系の軌道を脱出して、銀河の果てから太陽系を眺める。太陽と、その隣に子供みたいに寄り添う火の玉地球。遠ざかって遠ざかって、二つの*の区別がつかなくなって、そしてそのうち、それらは他の白い*たちと見分けがつかなくなる。ここで私は自分の存在を宇宙から遠ざける。あたりは闇の割合が大きくなって、そして、*はひとつも見えなくなる。闇。無音の闇。温度も湿度も香りもなくて、私は闇に溶け込んで、闇そのものになる。これこそが、私の求めていたもの。と、古本屋の隣のとんかつ屋さんの女将さんがやってきて私に話しかけた。私は現実の世界に呼び戻される。ああ、あと少しだったのに。口の中にリップクリームの香りが広がる。ロウと何かのオイルとシャネルの口紅の香り。次いでドクペの後味。それらと空気の香りが混ざって瓜系の香りになる。ラジオはまだ野球の中継の再生みたいなことをやっている。とんかつ屋さんの女将さんは何処かへ行ってしまう。私の頭の中にまた雪だるまが生成するが、なんとなく怖くなって消してしまう。ラジオは交通情報を流している。と思ったらまた野球に戻った。表の通りは人影が少なくなってきた。遠くからざわざわと祭りの音が聞こえる。