2014-10-02,Thu. その3

初めに言葉があった。言葉は神とともにあり、言葉は神であった。これは始めから神とともにあった、そして敬虔な修道僧の務めとは異論のない真理と断言しうる修正不可能な唯一の事件を慎ましやかな頌読によって日々に反復することであろう。それなのに<私タチハイマハ鏡ニオボロニ映ッタモノヲ見テイル>。そして真理は、面と向かって現れてくるまえに、切れぎれに(ああ、なんと判読しがたいことか)この世の過誤のうちに現れてきてしまう。それゆえ私たちは片々たる忠実な表象を、たとえそれらが胡散臭い外見を取ってひたすら悪をめざす意志にまみれているように見えても、丹念に読み抜かねばならない。

ウンベルト・エーコ薔薇の名前』河島英昭 訳