2015-01-28,Wed. その3

ほんとうに、美しい夜だ。季節でいちばん温かい、いちばん物憂い。楽士たちは沈黙してしまった。虫の声もまったく聞こえない。私が吸い込むことも忘れ、さまざまな欲望に息をつまらせているあいだ私の手から星へ向かって立ち昇るシガレットの煙の眺めに、この異様なけだるさの中で、いつまでもわたしは見とれている。

『1914年の夜』アール・ヌーボー調  A.P.ド.マンディアルグ  生田耕作訳 アルフォンス・イノウエ装幀  サバト館  




サバト館の本はうつくしい。生田耕作のことばの呼吸も、うつくしい。