2015-05-19,Tue. その5

 大事に育てあげられ、その結果とりかえしのつかなくなるまでスポイルされた美しい少女の常として、彼女は他人の気持を傷つけることが天才的に上手かった。
 その当時僕は若かったので(まだ二十一か二だった)、僕は彼女のそんな性向をずいぶん不愉快に感じたものだった。今にして思えば彼女はそのように習慣的に他人を傷つけることによって、自分自身をもまた同様に傷つけていたのだろうという気がする。そしてそうする以外に自分を制御する方法が見つからなかったのだろう。だから誰かが、彼女よりずっと強い立場にいる誰かが、彼女の体のどこかを要領よく切り開いて、そのエゴを放出してやれば、彼女もずっと楽になったはずなのだ。彼女もやはり救いを求めていたはずなのだ。