読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

2015-05-30,Sat. その2

グロテスクな老婆の顔。白髪染めで綺麗な珈琲豆(フレンチロースト)色に染められた髪。それより明るい茶色で、一本も毛の生えていない額に怒ったような形の眉が描かれている。眉間の中央に一本の深い皺。その下に横に刻まれたさらに深い二本の皺。エスティローダー的な発色のコーラルピンクの口紅。河馬を将軍にしたような形の大きな鼻。首に埋没した小さな顎。白と紺の細い縦縞、夏のジャケット。形の不揃いな短い爪にはビビッドなオレンジとゴールドのラメ、シースルーのフレンチネイル。ジェルなのに爪が伸びて汚くなっていない。金色の安っぽいバッグ。デニムもどきの色の濃いスキニー。趣味の悪い白金色の靴。金の縁取りの黒い日傘。

よく似た顔の二人の横顔だけ美しい女たち。歳は30ほど、黄色みの強い作り込んだ白い肌。元の形に合わせ濃く描いた趣味の良い眉。強い色味のない上品だが洗練された化粧。片方は艶やかな黒髪を短く刈り込み、もう片方は少し傷んだ明るい茶髪をふわふわと長く垂らしている。手にユニクロの袋と黒いスーツケース。鞄から覗く折り畳み式の白い日傘。黒髪の女は耳に大きな金の輪。

蛇と豹の合いの子のような鋭い目つきの男。黒ずくめ。柔らかいウェーブのかかった黒髪を真ん中で分けて顎の上で切りそろえている。痩せぎすで、黒いTシャツから伸びた白い腕に太く青い血管が驚くほどの密度で浮かび上がっている。どす黒い唇は、見惚れるほど形が良い。短く小さな爪はよく手入れされており桜色に輝いている。左の人差し指に銀の指輪、同じ手首に細い革紐をぐるぐると巻きつけている。黒いズボンを捲って僅かに露出した足首、左の足首にら迷彩色のリリアン。爪先がチップになっていない黒い革靴、ごく薄い不思議な色の靴紐。大きな濃グレーのバッグ。