2015-07-03,Fri.

Jさんと夕方6時くらいにS書房へ行く。金曜日だからTさんがいるかもしれないと期待していた。私はTさんに会いたかった。JさんはTさんを見たがっていた。案の定、私たちがガラスケースを見ていたら、Tさんがやってきた。口笛を吹いていた。棚の向こうから口笛が聞こえたしゅんかん、それがTさんだとわかった。私はこれまでTさんの口笛をきいたことはなかったけれど、その音にTさんをかんじた。私のいる通路の向こうにTさんが姿を現したとき、私は、あっTさんだっ!と叫んだ。Tさんは驚いた顔でこちらを見て、ちょー久しぶり!全然わかんなかったよ、と笑顔になった。二人でどうもどうもと何度も頭をこくこくさせた。Tさんは、眼鏡似てるね、金子眼鏡?と言った(Tさんはよく丸眼鏡をかけており、私はこの日たまたま丸眼鏡だった。Tさんは眼鏡にもとてもこだわりがある)。私は首を振った。私は自分の背後にいるJさんをTさんに紹介しなかった。Tさんは何も言わなかった。その後Tさんは隣の通路に移り、しばらくして私はそれを追った。Jさんは仏教コーナーに夢中でついてこなかった。もう一度、久しぶり、お久しぶりです、というやりとりをして、Tさんは私に、かっこよくなったね、と言った。私の服装を指して似合ってるよと言った。そして、ほんとにかっよくなったね、うん、と繰り返し、笑顔で何度か頷いた。TさんはここでもJさんについて何も言わなかった。私は、Tさんが逃した魚は大きいと思っているのではないかと妄想した。ところでTさんはとてもセンスの良い人なので、そのTさんから服装について褒められるのはほんとうに嬉しい。Tさんは記憶より素敵になっている気がした。少し痩せたかもしれない。服装はあまり変わっていない。髪の毛が伸び気味で白髪が少し増えていた。逃した魚は大きいと思っているのは私のほうだ。どこかで、今日会えば以前ほどTさんを好きでないことに気づくだろうと思っていたけれど、そんなことはなかった。胸を締めつけられた。Tさんの最高に人懐こいのに内面を映さない笑顔が好きなのだ、少しぼそぼそとした静かな声が好きなのだ、繊細な動きの平たい指先が好きなのだ。好きで好きでたまらない。