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2014年8月24日(月)

図書館に行った。あんなに恐ろしい場所だった図書館に普通に入ることができる、あのおぞましいビニールカバーをかけられた本に平気で触れることができる、薬を飲んでいれば。
川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』『愛の夢とか』を読む。『すべて真夜中の恋人たち』なんか読むと実に鬱鬱とした気分になってくるようなすばらしい駄作なのに、美しいタイトルのせいでまた読みたくなってしまう。内容、または意味ではなく言葉そのものだけを読む私にとっては川上未映子はそこそこ良い作家である。私はここ1年の間ある人によって川上未映子がいかに図々しく礼を欠いた行動をとる人間であるかという話をうだうだと聞かされてきたが、彼女が誰の小説をパクり誰の話を無断で元ネタにしたと怒るのも、「彼女が大した作家ではない」ことを語ろうとするときにそれを持ち出すのも極めて的はずれだと思う。彼女はその文章にあの美しい透明感を持たせることができ、それはすばらしい才能と呼ぶに値する力だと思う。残念なのは彼女がそれを持っているにも関わらずマーケティングした対象に媚を売るようなお粗末な小説ばかり書くことだ。彼女は媚を売っていることを隠そうともしないし、それは彼女が読者を馬鹿にしている証拠だろう。彼女を支える読者層つまり彼女が媚を売っている対象は媚に満ち満ちた彼女の小説をありがたがって読み一方的な共感を注ぐ。それで商売は成り立つ。私は内容は気にせず言葉だけ読むと言っているのだからそれを実行すればいいだけなのだけれどそれができないくらい彼女の小説はあからさまだ。…今のこの日本では内容に全く目を向けさせないような圧倒的な文章を書く小説家…たとえば泉鏡花みたいな…は生まれないだろうので…あるいは円城塔西尾維新はそれに近いのだろうか?……ただの我儘だけど川上未映子がもっと巧く書いてくれたらほんとに嬉しい、あんな小説を書いていたらあのことばのセンスが勿体無いもの