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2015年10月1日(木)

大きな窓の、あの大好きな喫茶店。
夕暮れ、外は雨が降っている。窓、大きな道路を走る車の川とその向こうのすてきな形をした桜の木、歩道を急ぐ傘を差した人たち、並んでゆっくり歩くヘルメットをかぶった工事のひとたち。雨の音はしなくて、車が水をはじくザァという音と店主がコーヒー豆を弄るこれまたザァーという音。窓硝子に映る室内のあかり、高い天井からぶら下がる華奢な電球とガラスの傘、青と黒の景色にそのオレンジ色の光が重なる、街灯が左上の雨を黄色く白く染める。雨粒は風に煽られてふわふわと落ちてくる。黒緑の葉っぱが光る雨に揺られる。ザァー。ゴォー。ザァー。
感覚が研ぎ澄まされてきて、コーヒーとガトーショコラの味が幸せに染まる。斜めの席ではブルースウィリスそっくりの白人のおじさんがバニラアイスとガトーショコラを並べてコーヒーを啜る。大きなウシのぬいぐるみ。シロクマの置物。不思議と柔らかなコーヒーの香り。面白いかたちのちいさな葉っぱたち。ザァー。
薄く流れる弾む音楽。ザァー。
この狭い店内が世界の全てに思える、
雨の夕暮れ特有の澄んで満たされた孤独感。