2016-01-15,Fri.

夜、電車で車両の端っこの席に座ると、すぐ横にある車両と車両を区切るドアのガラスに外の景色が映ってうしろに流れる。これを見るのが好きだ。


お茶の教室、今日は初釜だった。釜から立ちのぼる湯気を眺めていたらなぜか、いつか風の強い日に太陽に焼かれながら猫額洞へ向かって歩いたことを思い出した。その日は猫額洞が閉店する前の最後の日だった。近くに揚げ物屋があってアジフライのにおいが強く漂っていたのをおぼえている。滑り込んだ猫額洞の中はひんやりとして時が止まったような不思議な心地よい香りで満たされていた。本棚には最後の日とは思えないほどぎっしりと魅力的な本たちが詰め込まれていた。入口のすぐ近くに安部公房の「制服」の冊子がぶら下がっていたような気がする。欲しかったけれど手持ちが足りなくて泣く泣く諦めた。猫額洞夫妻は私をジェファーソンの娘さん、と呼んだ。どうしてあの日のことを思い出したのだろう。