2016-11-12,Sat.

もうだめです。

愛という感情すらなくなってしまった。絶望以外のあらゆる感情が去ってしまった。

眼に映るすべての像は風景のようで遠く静かに停止している。流れ込んでくるどの映像も気が遠くなるほどうつくしくて、私の、すべての感情を失った眼からは魂を搾りだすような涙が溢れる。

頭蓋の内側では静寂の音がけたたましく鳴り響き、外からやってくるほんものの音はもはや音ではなく、物質としての残酷なやり方でもって私をぶちのめす。

 

私は自分の力で体温を保つことができなくなってしまった。寒い。寒い。凍えて、動けなくなりそうで、全身がガタガタと音をたてて軋みはじめる。布団に潜ったり暖炉の前で蹲ったりしてもだめなので、日に五、六度風呂に浸かる。風呂に浸かりすぎるせいで全身がピリピリと乾燥する。うまく身体が動かせず意識も朦朧としていて、香油を塗る気にもならない。身体のすべての感覚がひどく不快で、身体を脱ぎ棄てたいと思う。締めつけられるように苦しいこころも身体と一緒に棄て去ってしまいたい。左眼側の視界の端にずっと死が浮かんでいる。目を開いても閉じても、死はずっとそこにいる。死は古くに言われたように睡蓮の薫りのように、そこに。あばら骨の内側に、なにかひくひくと痙攣し続けるものがある。とても不吉で、とても不快で、でもどこか絶対的な響きのある、